2014年 07月 21日
父に会いに…夏の初め |
花がいよいよ終わりに近づいたモッコクの木。
早朝聞こえるミツバチのブーンブーンと言う音も、次第に小さくなってきた。
木々の緑は夏の日差しを程よく遮り、そよぐ風とともに、五感を通して涼しさを感じさせてくれる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
きょう母と一緒に、久々に父に会いに行った。
まだ開設して1年余りの施設の花壇には、ようやく花が咲き、その隅にはわずかだが夏野菜も育っていた。
ちょうど午前中の体操が始まる前。
私たちが目に入ったのか、目に入っても誰だか認識は難しいけど、目を見て声をかけると戸惑いながらも笑顔で迎えてくれた。
そばに寄り、手を握る。
背中を撫でる。
耳元で話しかける。
返事にはならないけど、なにかを言いたいようすはわかる。
そして発する言葉はいつしか鼻歌めいて、テーブルの上においた手でリズムを取る。
その手を握り、肩を寄せ、耳元で話しかける。
それの繰り返し。
しばらくして、ホールに10人余りの人たちが輪になって椅子に座り、上体の体操が始まった。
父の車椅子もその中に入る。
いつも施設内では穏やかで、ニコニコしている父。
一人の介護士さんが、そんな父をみると『こうしたくなるんですよ』と、父の肩をギューと抱きしめてみせてくれた。
昔の父からは想像もつかない穏やかなようす。
その父に、何の抵抗もなく幼い子どもに接するようになった私たちも、想像がつかないことだったけど…。
しばらくようすを見ていたが、長くかかりそうだったので、父に寄り添う介護士さんに目で挨拶をして、静かにその場を抜けた。
ゆっくりと助手席に座った母が、ため息まじりにつぶやいた。
『もう一枚、夏用のシャツを出しとこうねぇ』
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そばに寄り、手を握る。
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耳元で話しかける。
返事にはならないけど、なにかを言いたいようすはわかる。
そして発する言葉はいつしか鼻歌めいて、テーブルの上においた手でリズムを取る。
その手を握り、肩を寄せ、耳元で話しかける。
それの繰り返し。
しばらくして、ホールに10人余りの人たちが輪になって椅子に座り、上体の体操が始まった。
父の車椅子もその中に入る。
いつも施設内では穏やかで、ニコニコしている父。
一人の介護士さんが、そんな父をみると『こうしたくなるんですよ』と、父の肩をギューと抱きしめてみせてくれた。
昔の父からは想像もつかない穏やかなようす。
その父に、何の抵抗もなく幼い子どもに接するようになった私たちも、想像がつかないことだったけど…。
しばらくようすを見ていたが、長くかかりそうだったので、父に寄り添う介護士さんに目で挨拶をして、静かにその場を抜けた。
ゆっくりと助手席に座った母が、ため息まじりにつぶやいた。
『もう一枚、夏用のシャツを出しとこうねぇ』
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by ryonasa
| 2014-07-21 19:12